kmma-201902-浮世絵-コレクション展
 
 
北九州市立美術館 本館 | コレクション展III 浮世絵―色彩の変遷
 
 
◆特集1: 浮世絵―色彩の変遷
 
木版の多色摺りである浮世絵は、色彩の華やかさから、さまざまな色を使って織り出した「錦」に例えて「錦絵」とも呼ばれます。
 
しかし、浮世絵は最初から色彩豊かだったわけではありません。
 
浮世絵版画の出発点となったのは、墨一色で摺られた「墨摺絵」でした。
 
これは、小説の挿絵が独立し、一枚の作品に仕立てられたことから生まれた様式です。
 
ここから、墨摺絵に筆で彩色を施した作品があらわれ、さらに紅や緑など2、3色の版で摺る「紅摺絵」へと発展し、明和2(1765)年、鈴木春信らによって多色摺りの「錦絵」の完成に至ります。
 
天明から寛政年間(1781-1801)は錦絵の黄金期と呼ばれ、文政(1818-30)後期には「ベロ藍」という発色の良い輸入顔料が登場し、浮世絵の色彩表現はさらに豊かさを増していきます。
 
 

本特集では、墨摺絵や初期錦絵から、アニリンという化学染料を多用し「赤絵」と呼ばれた明治期の浮世絵までを紹介し、その色彩表現の変遷をたどります。
 
<出品作家>
鈴木春信、磯田湖龍斎、喜多川歌麿、葛飾北斎、歌川広重、月岡芳年ほか
 
 
◆特集2: フランスに渡った画家たち―田淵安一を中心に
 
芸術の都パリ―芸術家たちの憧れの地。
 
明治時代以降、西洋絵画の技法を学ぶために多くの画家たちがパリへ渡りました。
 
時代が下るにつれて画家たちの渡仏の目的は、単に画法の習得を目指すだけでなく、多様な絵画運動に触れ、世界各地から集まってくる芸術家たちとの交流や西洋での生活を通じて独自の表現を追求するためへと変化していきました。
 
西洋との出合いから、彼らは日本人としてのアイデンティティや伝統を自覚し、異国の地で自らの芸術を突き詰めていきます。
 
北九州市ゆかりの画家 田淵安一(1921-2009)もその一人です。
 
1951年に渡仏して以降、生涯をフランスで過ごした田淵は、半世紀以上の滞欧のなかで、東洋人として西洋の美術を見つめ、深い思索のうちに、花、樹木、空、大地などを主題に華やかな色遣いを特徴とする多くの作品を残しました。
 
本特集では、田淵安一を中心として、フランスに渡った日本人画家の作品を紹介します。
 
<出品作家>
田淵安一、梅原龍三郎、藤田嗣治、海老原喜之助、野見山暁治ほか
さらに、2つの特集のほか、エドガー・ドガ《マネとマネ夫人像》、ピエール=オーギュスト・ルノワール《麦わら帽子を被った女》、クロード・モネ《睡蓮、柳の反影》、パブロ・ピカソ《貧しい食事》など当館が誇る名品も併せて展示します。