○「小倉織」を知っていますか?
かつて北九州には、織物産業が盛んな時代がありました。
丈夫でしなやかという特徴を持った木綿織は、江戸時代より主に袴や羽織、帯の生地として珍重され、全国にその名を知られていました。
それが小倉織です。
武家の婦女らにより手織で生産されていた小倉織ですが、幕末の動乱や近代化の波により、昭和初期には生産が途絶え、なかば幻の布となりました。
○ 築城則子の伝統と革新
一度は途絶えた小倉織ですが、北九州市生まれの築城則子(1952-)が、1984年、伝統を継承しつつ、現代に息づく新しい「縞」の世界を蘇らせました。
その作品は、単なる復元にとどまらず、縞模様をなす色の組み合わせの妙、凛としたたたずまいや潔さをもつ革新的なデザインにより、国内外で高く評価されています。
築城は、伝統文化ポーラ賞(2005年)を始めとする各賞受賞や、東京国立近代美術館などへの作品収蔵の一方、遊生染織工房を主催して後進の指導にも務めるなど活躍を続けています。
小倉織復元30周年を記念する年に開催される本展は、築城則子の新旧作を包括的に概観するものです。
築城による小倉織の代名詞でもある縞帯をはじめ、着物や袴、リトグラフなどの展示に加え、新作を大規模なインスタレーション形式で初公開します。
小倉の地名を冠する伝統を復元・昇華させた築城則子の功績を示すとともに、当地の文化資産を再認識する機会となれば幸いです。
◆ 関連イベント
○ アーティスト・トーク
日時 9月27日(土) 11:00~12:00
講師 築城則子氏
会場 展示室内
○ 特別対談
日時 10月18日(土) 14:00~15:00
講師 築城則子氏×今泉今右衛門氏(陶芸家)
場所 西日本工業大学講義室(リバーウォーク北九州 大学棟3F)
定員 150名(先着順・聴講無料)
○ ギャラリートーク
学芸員によるギャラリートーク
日時 10月11日(土)、10月25日(土) いずれも14:00~
場所 展示室内