kmma-1909-サイトウマコト-展覧会
 
 
北九州市立美術館 本館 | サイトウマコト 臨界ーCriticalityー
 
 
北九州市出身のサイトウマコト(1952-)は、1980年代よりグラフィック・デザイナーとして国際的に認められる活躍をみせ、2005年頃より本格的にペインティングに主軸を移したアーティストです。
最近作のアーティストの肖像シリーズでは、フランシス・ベーコンやアントナン・アルトーなど、描かれる「顔」への強い執着によって、対象に肉薄し、隠された内部を抉り出していくような強烈なイメージが提示されます。自身の葛藤や、アーティスト同士のぶつかり合いで生まれる化学変化をそのまま凝固させたような画面は、拡大鏡越しに印刷物を覗いたかのようなミクロとマクロの世界の往還を引き起こし、視覚上の境界とその揺らぎについても強く意識させるのです。
また、写真という2次元の情報を主として、対象の内奥を探る試みは、一方でサイトウ自身を映す試みでもあり、表層的なイメージの氾濫が加速する現代において、いかに自らの強度を保つかといった作家の命題に対する答えでもあります。
本展では、金沢21世紀美術館での初個展から10年間のプロセスが濃縮された約30点で、独自の世界観を展観します。