安藤圭汰エッセイ

ある時、何気なく話している相手の顔がカラスに変わっていました。

唐突に非現実な光景に自分の目を疑い、もう一度相手の顔を凝視したら、いつの間にか元の顔に戻っていました。

人の顔がカラスに見えてしまうぐらい疲れているのかなと思い、早々に話を切り上げて家に帰っていたら、道端に雀の亡骸があり、その亡骸を野良カラスが加えてどこかに飛んでいってしまうのを見ました。

やけに鳥関連の出来事があり、何かの予兆でもあるのかも…と考えながら帰宅したら、家の玄関の前でメジロの亡骸が頽れていました。

瞬時に鳥からの啓示だと思い、その鳥を描画して近くの土に埋葬しました。

それからというもの、毎年同じ時期に鳥の亡骸を作家さんからいただいたり、不思議な場所に頽れていたりと鳥の亡骸が色々な形で手元に来るので、次第にその鳥をモチーフに描くという一年のルーティンができてきました。

やはりそういうことが何年か続くと、自分の中で その啓示をなんとかこじつけたくなってきて、きっと鳥たちは土に帰る前に綺麗な自身の姿を残してもらいたくて私の元に来るのに違いない!と考えるようになりました。

実際鳥の色は構造色となっていたりと本当に綺麗で、その度に見惚れてしまうのですが、その魅力を絵に表すのは毎回困難を極めます。

鳥の個人肖像画、中々ハードな仕事です。

安藤圭汰エッセイ-2020年4月

ある時普段から大変お世話になっている画廊のオーナー兼コレクターであり、私の英語の師匠から、大変可愛い形の立体作品を譲り受けました。

この作品は、聞くところによるとインディアンの制作物で「カラスの母」という名前がついているとのことで、見ていると不思議と優しい気持ちになります。

早速「カラスの母」を部屋に飾った年、不思議なことに鳥の亡骸がやって来ませんでした。あれだけ毎年決まった時期に来ていたのに、今年は鳥からの肖像画依頼が無かったと少し寂しくなりました。が、もしかしたら画廊のオーナーを介して鳥たちが天から肖像画のお礼として「カラスの母」を献上してくれたのかもしれませんね。

またいつでも個人肖像画の依頼が来てもいいように、腕を磨いて待っています。(個人肖像画の依頼は毎回不思議な経緯で来るので、やはり縁が導いてくれるのかもしれませんね)

profile

安藤圭汰

1992年 神奈川県川崎市生まれ
2013年 第3回ドローイングとは何か「大賞」ギャルリー志門(東京)
2017年 絹谷幸二賞推薦
2019年 artist in residents&solo exhibition sangkring art space&lorong sangkring indonesia yogyakarta