作家の故郷である広島県尾道に点在する、まちの鄙びた壁を撮影した写真 及び 直方などの鄙びた壁を写し取ったダーマトグラフによるフロッタージュで構成したインスタレーション作品。
展覧会タイトルは、ダーマトグラフという画材から発想を得ている。
ダーマトとはギリシャ語で皮膚を意味し、ダーマトグラフは医者が手術の際、皮膚に印を付ける時に用いた道具であり、その事柄が語源となっている(現代ではリトグラフ版画の描画用画材としても用いられている)。
まちの風景に点在する鄙びた壁は、まるで長年そのまちの空気に晒され続けてきた皮膚のようにも見てとれる。
その壁の様子をその場所の変化や変遷という時間軸で捉えると同時に、そのまち固有の空気感や特徴をも見出だすことができるだろう。
今回は壁というモチーフにより、ふたつのまちの共通点や違いなどを含め、写しとった記録の集積を皮膚に見たて表現した作品を発表する。