三樹荘 | 加藤笑平 × 渡邊瑠璃 「壁」
7月4日から三樹荘では、加藤笑平と渡邊瑠璃の2人による、パフォーマンスを軸にした展覧会を開催いたします。
加藤笑平と渡邊瑠璃は、ともに表現形態や分野を一つに限定せずに、これまで絵画、立体、パフォーマンス、あるいはビデオ、そしてそれらを展示する作業としてのインスタレーションを行ってきました。
今回の2人による展覧会の話が持ち上がったのは、ちょうど1年前の7月4日(アメリカの独立記念日)のことで、薬院のIAF SHOP*にて加藤の個展「頂が見えない」におけるパフォーマンスが行われた日でした。
加藤と渡邊は初対面に近い状態だったので、その後の展覧会について話し合いは、加藤と渡邊というふたりの人間の関係を深めていく過程そのものとなりました。
ふたり展の序章は、ふたりの「関係」の発生から始まっています。
ふたりに共通するのは、一つに集約しない、一つで完成させない、変化し続けるものを作品にしたいと考える点です。
この展覧会でふたりは、開場の真ん中に壁「展」を作ります。
芯を編み、コンクリートを何重にも塗り重ねて、それぞれの手でこちら側とあちら側から強固な「壁」を作り続けます。
ふたりを隔てる壁を自ら作り、「壁」を中心に据えて、お互いが「あちら側」と「こちら側」を感じながら、時には文字を書いたり絵を描いたり、本を読んだり何かを作って過ごします。
かいたものを「交換」し、それぞれが大切にしているものを「こうかん」するかもしれません。
そして展示は、毎日変化します。
またふたりは会期中、「言葉」を使ったコミュニケーションをとらず、沈黙を共有しながら生活をともにする予定です。
言葉の「壁」とは、リアリティとフィクションの「壁」はどこにあるのか、展覧会とつくることそれ自体の「壁」はどこにあるのか。
男と女の「壁」は、あちら側とこちら側の「壁」は、見られるものと見るものの「壁」は・・・
「壁」を認識する、あるいははっきり現前させることによってズレが発生したり、「壁」があることでより向こう側に強い関心や共感がうまれることもあります。
展覧会の現場にて「壁」を通して行き交うものを皆様と発見したいと思います。
是非ご高覧くださいませ。