mikiso-201603-IN MY IMAGINARY ROOM 江上計太の部屋2

 
 
 

三樹荘 / IN MY IMAGINARY ROOM 江上計太の部屋2

 
 

江上計太さんによるインスタレーションの展覧会。

 

制作は三樹荘に滞在しながら進めます。

 

滞在期間中は毎週日曜日に作業場を公開します。

 

どなたさまもお気軽に、焼酎片手にお越しください。

 
 

滞在制作期間 2月15日(月)~3月13日(日)
期間中毎週日曜日(2/21・24・3/6・13)
13:00~18:00開場
☆焼酎、その他持ち寄り歓迎

 

展覧会期間 3月17日(木)~3月27日(日)
13:00~18:00開場 ※月・火・水休み

 
 

□ 作家によるコメント

 

江上計太「サブタイトル『江上計太の部屋2』について」

 

10年以上前のことになりますが、私はすでに『江上計太の部屋』と銘打った個展を、アジア美術館が入っているビルの地下2階の商業空間内にあったギャラリー・アートリエの企画展として開催しています。

 

この展覧会タイトルは、もちろん私自身の発案によるものではなく、企画者側の要望として提案されたものでした。

 

華やかなコマーシャル・スペース内の中心に位置するオープン・スペース・ギャラリーという、この展覧会タイトルが喚起するイメージとは全くかけ離れた不釣り合いの場所で、しかも十分な制作準備期間も無しに相当強引にでっちあげるしかないようなインスタント・インスタレーション展を、堂々と恥ずかしげもなく自分の個人名を冠したタイトルのもとに開催するということに対しては、当然ながら強い抵抗・違和感があったものの、私は結局、このタイトルに番号『1』を付加することを条件に受諾することにしました。

 

つまり、正式な展覧会タイトルを『江上計太の部屋1』とすることで、この展覧会が一回限りで完結するものではなく、一種の連作として構想されたもので、その続編とされるべき『江上計太の部屋2』と銘打った展覧会が、いずれ近い将来開かれることになるであろうことを、数字『1』の付加によって事前に示唆的に自己表明しておいたのです。

 
 

数字『1』が発揮するこのような含意、暗示、示唆的意味作用の効果を、私自身はその当時取り組んでいたデューラーの有名な銅版画作品『メランコリアⅠ』をネタにした一連の模倣的パロディー・インスタレーション作品の試行実践を通じて習得していたのです。

 

デューラー自身が、『メランコリア』というタイトルを冠した作品を、実際にシリーズを成す連作として構想していたかどうかは、おそらく永遠に謎のままなのでしょうが、『メランコリアⅠ』というタイトルに含まれる数字『Ⅰ』が、その作品に魅了された人に、『メランコリアⅡ』という現実には不在の幻の作品の存在を想像的に喚起させてしまう力を発揮するのです。

 
 

ともあれ、私はデューラーの作品タイトル『メランコリアⅠ』を模倣して、その当時直面していた自らの展覧会のタイトルを『江上計太の部屋1』とすることで、言わばとりあえずその場を取り繕って切り抜けておいたのです。

 

そしてその後10年以上の年月が経過したにもかかわらず、その来るべき続編に相当するような展覧会を実行する機会を得ることができないまま、現在に至ってしまったのですが、一年程前に三樹荘というスペースの存在を知って以来ずっと、私はやっとその続きの個展にチャレンジするのにこれほど相応しい場所は無いだろうという、漠然とした思いに想到していたのです。

 
 

という次第で、ここに掲げる今回のこの『江上計太の部屋2』という個展タイトルは、サブタイトルとして格下げされているとはいえ、作家本人の自発的な立案によるものであることを予め表明しておくと同時に、今回の展覧会が10年以上前の未完の個展の単なる続編としてではなく、最終的な完結編として終結できるよう希願しておきたいと思います。