>> ART HUB 三樹荘 | 10年以上前のことになりますが、私はすでに『江上計太の部屋』と銘打った個展を、アジア美術館が入っているビルの地下2階の商業空間内にあったギャラリー・アートリエの企画展として開催しています。この展覧会タイトルは、もちろん私自身の発案によるものではなく、企画者側の要望として提案されたものでした。華やかなコマーシャル・スペース内の中心に位置するオープン・スペース・ギャラリーという、この展覧会タイトルが喚起するイメージとは全くかけ離れた不釣り合いの場所で、しかも十分な制作準備期間も無しに相当強引にでっちあげるしかないようなインスタント・インスタレーション展を、堂々と恥ずかしげもなく自分の個人名を冠したタイトルのもとに開催するということに対しては、当然ながら強い抵抗・違和感があったものの、私は結局、このタイトルに番号『1』を付加することを条件に受諾することにしました。つまり、正式な展覧会タイトルを『江上計太の部屋1』とすることで、この展覧会が一回限りで完結するものではなく、一種の連作として構想されたもので、その続編とされるべき『江上計太の部屋2』と銘打った展覧会が、いずれ近い将来開かれることになるであろうことを、数字『1』の付加によって事前に示唆的に自己表明しておいたのです。