江戸時代、大名家の婚礼には、身の回りのものとしてお目出度い松竹梅などの花をはじめ吉祥文様を蒔絵であらわした豪華な婚礼調度をそろえることが習わしとされました。
婚礼調度には貝桶をはじめ、厨子棚、黒棚、書棚という三棚や、衣桁や手拭掛、鏡台や脇息、文机や硯箱など様々なものが、同じ意匠(デザイン)でそろえられました。
さらに当時の結婚は家と家との結婚であったことを象徴するように、これらの調度には、両家の家紋が入れられることも多く、これらは持ち主が亡き後、親しい人に形見分けされました。
今回はそうした江戸時代の武家の調度類のうち、九曜紋の入った調度を中心に、同じ意匠(デザイン)と思われるものを一同に集めます。
さらに、調度を小さく可愛らしく表した雛道具で、武家の調度の姿をわかりやすく見ていただきます。
こうした調度は江戸時代を通じて発達し、武家特有の決まり事や飾り方が確立されました。
しかし時代が変わっても親が子どもに心をこめて道具を持たせる点では現代の婚礼道具も気持ちは同じといえましょう。
大切に作られ、使われ、分けられて伝えられた調度の魅力を感じとっていただければ幸いです。
主 催: 北九州市立小倉城庭園
特別協力: 大阪市立美術館・一般財団法人松井文庫
会 場: 北九州市立小倉城庭園 企画展示室