九州国立博物館_古武雄

 
 
 

文化交流展 『江戸のモダニズム 古武雄 ~まぼろしの九州のやきもの~』(文化交流展示室 関連第9・10室)
 
○ 古武雄って知ってますか?
「古武雄」と言って、それが陶磁器のことであると分かる人がいれば、それは焼き物がかなり好きな方でしょう。
九州の方ならば、武雄は温泉地として有名なので、「温泉のある武雄かしら」と想像はつきます。
しかし、それに古がつき、しかも読み方は「コダケオ」と濁ります。
こうなると、ほとんどの方が分からないでしょう。
しかし、分からないのも当然と言えば当然なのです。
この「古武雄」という名称は近年生まれたものだからです。
「古武雄」は、かつては「二彩唐津」、「武雄唐津」、「弓野」、「二川」などと呼ばれていました。
 
○ 古武雄という「やきもの」
江戸時代前期(17世紀前半)から19世紀にかけて佐賀県西部で誕生した陶器なのです。
しかし、その美術的な価値については正当な評価がなされてきませんでした。
近年で東南アジアでも出土し、輸出されていたことが分かり、その重要性が再認識されています。
また、その豪快な筆使いの魅力と釉をかけ流しただけの斬新な文様が、現代アートにも通ずると再評価され、「古武雄」の名前が新たに付けられたのです。
 
○ 多彩な文様
古唐津が鉄絵、朝鮮唐津など基本的にはモノトーンの作品で人気を博したやきものならば、古武雄は、多彩な文様表現に魅力があります。
古武雄の作品で基本的におこなわれる装飾技法の基本は、褐色の胎土の上を白く塗ることに大きな進歩がありました。
この白いキャンパスを得られたことにより褐色の胎土という、絵付けにはある意味で言えば不利な条件を克服し、新たな文様表現の土台を得ました。
そして、そこに緑や褐色で絵を描いたり(鉄絵緑彩)、緑や褐色の釉をかけ流して文様にしたり(緑褐釉・彩)、スタンプで文様を押し、その部分に白い土を埋める象嵌、白い土を刷毛で打ち付ける文様(打ち刷毛目)などなど多彩な文様が生み出されました。
このような多彩な文様こそ「古武雄」の見所です。
 
○ 古武雄の優品が集結
このたびその「古武雄」の優品65点を厳選し、その美しさをあますところなくご紹介いたします。
豪快な文様などその魅力にあふれた作品をご覧いただき、多くの人々に「古武雄」の魅力を再発見していただければ幸いです。

 
 
 

◎ 関連催事
・ミュージアムトーク
文化交流展示室 関連9・10室内において、担当研究員が展示作品の見どころをお話しします。
ご希望の方は当日、時間までにお集まりください。
 
日時: 平成25年 5月10日(金) 15:00?(30分程度)
聴講料: 無料(ただし文化交流展の観覧料は必要)