コレクション展II_特集_ピカソ、マティス、ルオー~巨匠たちの版画

 
 
 

このたび北九州市立美術館は、20世紀を代表するパブロ・ピカソ、アンリ・マティス、ジョルジュ・ルオーをはじめ海外の巨匠たちの作品を中心に、当館の版画コレクションを特集します。

 

当館は1974年の開館以来、版画収集をコレクション形成の主軸のひとつとしてきました。

 

現在、国内外の近現代作家の作品や錦絵など、およそ4,500点の版画を所蔵しています。

 

「版画」の特性は、多くの同質な作品を生み出し世に広める「複数性」にこそあるといえるでしょう。

 

木や金属、石などを用いてつくられた「版」をもとに、同じイメージをいくつも生み出すことができるのが特徴です。

 

古来、版画は名だたる芸術家たちの技量や表現を広く伝えることを可能にした一方で、コレクターや観客が作品に望む「希少価値」に対し単なる「複製技術」として解釈されたことで、長年、版画は低く評価される傾向もありました。

 

しかし19世紀に入り、さまざまな技法が開発されるにつれて版画独自の表現効果が可能になると、芸術家たちは他の絵画技法にはない新たな表現に取り組み始めます。

 

20世紀初頭には画商や出版者たちも「作品としての版画」に着目して豪華な版画集や挿絵本をつぎつぎと出版し、多くの美術ファンを魅了しました。

 

本展では、「オリジナル版画」が隆盛し始める19世紀後半から現代にいたる連作版画を展示するとともに、木版、銅板、リトグラフ、シルクスクリーンなど、多種多様な版画技法を紹介します。