interview with 柴田高志 | 2015/03/18


 

取材&撮影:村上博史(プラスフクオカ)
以下_ 柴田高志:柴田

 
 

interview with 柴田高志 2015/03/18-4048

 
 
 
 

Q: いつごろから画家になろうと思い始めたのですか?

 
 

柴田 小学生辺りから普通の人が描くくらいの絵は描いていたんですけど、小学校5・6年くらいにちょっと本気で描いてみようかなと思って描いた絵が同級生に受けて、それで嬉しくて。
最初は漫画絵でイラストを描いていたんですけど、姉が絵を描くのが得意で、それに憧れていた部分があるんですけど、小さい頃から絵は好きで。
たまたまそうやって周りのみんなから褒められたものだから、自分の得意分野なのかなって思い始めて、その辺りからやり始めました。

 
 

― それじゃあ絵を描こうかなと思ったきっかけはお姉さんが描いているのを観て?

 
 

柴田 そうですね。姉もイラストみたいな絵が得意で、絵画というよりも漫画とかの絵が好きで、姉が描いているのを観て、こんな風に描けたらいいなと思ってですね。

 
 

― 絵を描き始めて、本格的に絵の道に進みたいと思ったのはいつくらいですか?

 
 

柴田 大学の終わりくらいですね。
それまでは小・中学校くらいは、ぼんやりと漫画が描ければいいなくらいにしか思っていなかったんですけど、高校に入って、中学からずっと一緒にイラストを描いてた友達が美術部に入らないかと誘ってきて、僕はその時は美術とかには興味はなかったんですけど、誘われるから行ってみようくらいに思って、ちょっと見学のつもりで覗いてみたら石膏デッサンを経験させられて、いつのまにか部員になっていました(笑)
その時から美術の世界に入って、高校後の進路も、自分は絵が得意だし、他に進みたい進路もないから、美術やデザインの方向で考えていたら、デザインの方が就職に有利そうだというアドバイスを先生に言われて、それだったらデザイン方面でいいかなと思って九州産業大学のデザイン科に入学しました。
そして最初はデザイナーになるつもりだったんですけど、3年生の時にインターンシップでデザイン事務所に行って業務を経験した時に、自分の性質はデザイナー向きじゃないなと思って。
まぁ、デザイナーになろうと思っていたことも、デザイン科に入ったからデザイナーになるくらいの考えだったので(笑)
その時の会社の人に自分の絵を見せたら「これはデザイナー向きじゃないし、デザイナー以外の道もあるよ」と言われて、自分の絵について改めて考えてみて。
その時作っていた絵は、デザインの仕事じゃなくて、自分の思うまま絵を描いている方が好きだったので。
丁度卒業制作の時期で、デザイン方面で組むか、美術方面で組むか迷ってた時に、ずっとお世話になっていたデザイン方面の教授から、美術方面では卒制を受け持つことができないと言われて。
自分では実感はなかったんですけど、そうやって言われた事で自分の絵が美術方面だったことに気付かされて、美術方面に強かった別の教授のもとで指導を受けて卒業制作を進めました。
デザイン科ではあったんですけど、その教授の指導で美術方面の指導をしっかり受けて、今に至るという感じですね。

 
 
 
 

一千由旬 / 910mm×652mm / 2012 c 柴田高志
一千由旬 / 910mm×652mm / 2012 c 柴田高志

 
 
 
 

Q: 今のスタイルの絵を描くようになったきっかけはありますか?

 
 

柴田 はっきり作品に使ったのは、高校の美術部に所属していた時に、鉛筆を中心にデッサン調で描いていた時か、今の作品制作はGペンが主流なんですけど、Gペンを使い始めたのが、中学校の時に漫画家になる為にはGペンを使えないといけないと考えて、初めてGペンを使ってみたら線がとても汚くて。
これは練習しないとと思って線の練習を始めて、一年くらい線の練習をしてたんですけど受験とか色々あって止めちゃってたんです。
それからずいぶん経って、大学3年の時に実家の物置を整理してたらGペンが出てきて、懐かしいなと思って線を引いてみると上手く引けるんですよ。
一度体で覚えたことって忘れないんですね。
それから楽しくてずっと使っています。

 
 

― 今の作風の絵を意識し始めたのはいつくらいですか?

 
 

柴田 今の作風を意識し始めたのは大学3年の頃ですね。
それまでは具象的な作品を描いていたんですけど、なんとなく自分の中で何か違うと思い始めて、違う雰囲気の作品を作りたいなと思っていた時に、大学2年の終わりくらいに具体的な形から少し崩れ始めて、綺麗な線を描きたいなと思うようになって、大学3年の終わりくらいに一気に抽象的にばらけて、きちんと纏まったものを作ったのが大学の卒業制作でした。
卒業制作を作るにあたって、線とかペンとか自分自身と向き合って形にしていった結果が出たという感じですね。

 
 

― その時に何かつかめた?

 
 

柴田 ぼんやりしているんですけど、それまでデッサン調で具象的なものをきっちりわかりやすいものを描いていると、時間をかけて描いていることもあって、周りの評価も内々ですけど時間をかけて頑張った分としての良い評価を言ってくれて。
でも、抽象的なものを作り始めた時は自分でも変なものを作り始めたなと思ったんですけど、こっちの方が作品を作っている実感が持てた。
一見してわかりやすいものよりもわかりづらいものの方が新しくて良いんじゃないかとその時は思ったんですよ。
今思うと浅い考えとも思えるんですけど(笑)

 
 
 
 

灰になった唄 / 727mm×606mm / 2012 c 柴田高志
灰になった唄 / 727mm×606mm / 2012 c 柴田高志

 
 
 
 

Q: 作品には何かテーマはありますか?

 
 

柴田 大体線画をちまちまと描いていると何がしかの形が見えてくると思うんですけど、何を描こうとしていなくても自分の内にあるイメージに引っ張られて、そのイメージを描き出して、そしてその描き出したイメージに足していって、更にイメージを膨らませるという事があるんですけど、イメージは具象的なものなので、何かの形になっていくというのは当たり前なことなんですけど、僕の場合は、そうならないギリギリのところでストップするようにしています。
そしてまた別の形を増やしていってという作業の繰り返しがいつもやっている制作です。
作品を観てもらった時に「あっそういうことか」とか「そういうイメージね」と受け取られたくないんですよね。
出来る限り滅茶苦茶にしたいというか、でも、自分の内にはイメージもあるし、方向性もあるし、こういう風に受け取られるんだろうなという目測はあるんですけど、その上で見る人の見方の振り幅を広めにとるようにしています。
でも、完全自由ではなく、どうにでも受け取ってくださいではなく、僕の中には一本これはこういうものだという筋はあるんですけど、
それは表には出さずに内に秘めて、作品に一本筋を込める意識はあります。
何回も観てもらいたいので、パッと見て理解できる作品ではなく、この間と今日は印象が違うなとか、なんかもう一回見たいなとか、なんか気になるなと思ってもらえるように、作品に白か黒かではないグレーな感じを含ませたいなと思っています。

 
 
 
 

interview with 柴田高志 2015/03/18-4083

 
 
 
 

Q: 作品を通じて伝えたいメッセージはありますか?

 
 

柴田 メッセージのようなはっきりとしたものではないんですが、圧搾された熱量のようなものが作品から直線的に伝わればなと思います。
話はない、その代わりに、一つの絵画のうちでも、断片的なイメージたちの渦中にのまれるような、体験的な鑑賞をしてもらいたいなと。
それと、先程の質問に通じるところではあるんですけど、キャッチーさはいらないなと、できるだけ、これは何なんだろうと思ってもらいたいというかそういう風に誘導したいという意識はあります。
100%自分の意図した方向へ誘導できるとは思っていないんですけど、主張の押し付けがない程度で、できるだけ僕の判断の方向へ柔らかく誘導したいなという気持ちはあります。

 
 
 
 

炎々 / 530mm×455mm / 2012 c 柴田高志
炎々 / 530mm×455mm / 2012 c 柴田高志

 
 
 
 

Q: 作品のアイデアや着想はどんなところから得ていますか?

 
 

柴田 意識的にはないんですけど、自分がピンときた形や図形とか、普段生活していてたまにあるんですけど、劇的なものじゃなくて、生活の一部で素敵だなと思ったものだったりとか、そういう経験がいっぱいあって、それがミキサーにかけられたように断片的にあって、素敵だなと思ったそのものが作品になるというよりは、そうやってミキサーにかけられたように欠片になったイメージを辿りながら、きちんと着地させるというよりは、欠片のままだったり、ミックスされたままだったりを形にしています。

 
 

― 人生の蓄積みたいですね

 
 

柴田 格好良くいうとそんな感じですね(笑)
できるだけ僕は抑えこむようにしてるんですけど、ギュっと抑えこんで、それでもはみ出てしまうもの、それが作品になってくるんだと思います。

 
 
 

Q: 作家になって良かったことや悪かったことはありますか?

 
 

柴田 良かったことは、この世界に入ってないと出会えなかった人達との出会いですね。
この世界に入ってなくても絵は描いていたと思うんですけど、自分一人で楽しむだけのものになっていたと思うので。
作家であるという自意識があるのとないのとでは、人との出会い方が違うと思いますし、そういう自意識があって良かったなと思うことはあります。
悪かったことは、悪かったというほどではないのですが、普通に生活して普通に仕事をするのんびりした人生の選択肢もあったのかなと思うことはあります(笑)

 
 
 
 

皮相の観察・乙 / 530mm×455mm / 2012 c 柴田高志
皮相の観察・乙 / 530mm×455mm / 2012 c 柴田高志

 
 
 
 

Q: 今後のご自身の活動・展望をお聞かせください

 
 

柴田 今年の5月から東京に拠点を構えて活動を行う予定です。
福岡で何年間か活動してきて、東京にも時々遠征していたんですけど、もちろん福岡で活動ができない訳ではなくて、きちんと安定した状況で制作もできて、展示させて頂ける場所もあって、恵まれてるとは思うんですけど、東京の方がジャンル毎の関心がある絶対数が多いので。
一度東京に出て、向こうで活動をして、そこでしか交流できない人たちと関わって、そこでしか経験できないことを経験したいなと思って。
福岡よりも東京の方がギラギラしてるイメージがあるので(笑)
そのギラギラに乗っかって一回活動してみたいなと思っていたので。
自分の作品にも何かしらの影響が出るでしょうし、そういった変化を求めている時期なのだと思います。
とりあえず1年という考えはありますが、1年後の予定はその時が近くなればまた考えます(笑)
でも時々は福岡に帰ってきますよ。

 
 
 
 

interview with 柴田高志 2015/03/18-4114

 
 
 
 

Q: 最後に伝えたいメッセージがあればどうぞ

 
 

柴田 福岡で活動してきて、福岡内では色々な方たちに観てもらえて、ありがたいことに肯定的な意見を言って頂けることもよくあります。
普段わたしは細密かつ大きいサイズの作品を発表していますが、そういうわかりやすい努力賞的な側面だけで評価せず、じっくりと作品を鑑賞したうえで善し悪しを判断して頂きたいと思います。
あと、僕個人としては、観てくれた人に対して、その人が生きていく上で心にはっきりとした爪痕を残せれば、それは凄いことだなと思うんですけど、そうやって爪痕を残す為には、相手がはっきりとした審美眼をもって、他の作品と比べて、やっぱり良いなと思ってもらえれば、その時こそ、その人の人生上で大切な作品と作家になれると思うので。
あまり盲目的にならずに、自分の意見をもって良いか悪いかを判断してもらいたいです。
その上でやっぱり良いと思って貰えたら最高ですね。

柴田高志さんありがとうございました。
 
5月から東京を拠点に活動を開始する柴田さん。
新しい環境でどんなことを吸収し、また新たな世界を魅せてくれるのでしょうか。
東京に拠点を移しても、プラスフクオカはこれからも、柴田さんの活動を注目していきます。